この寂しさと恥かしさと切なさの原因は全てこのやたら身長のデカい男のせい。


ぐっ


八つ当たりに近い気持ちで男が持つドアを引っ張った。


あ、よろけた、ごめん。


やっとこちらを向いたのに何を思ったのか私を見るなり目を見開いたまま再び固まってしまった男を、端っこに誘導するべく手で合図した。


そこでようやく自分の状況に気付いた男は、誘導した通り端っこ寄った。


ふう、やっとこれで外へ出られる。


店の外へ踏み出した先肌に触れたあまり好きじゃない生暖かい風が、今は心地良く感じた。


.