[SAKI]
「…戻らなくていいんですか…?」
ユイさんのとこに…
「…あーもういいよ」
「…ごめんなさい…」
本当に…泊まる約束までしてたのに…
…あたしのせいで…
「別にいって」
「…」
「…なんか買ってくる?」
…え…あぁ…
「大丈夫です…」
ただ…今はそばにいてほしいんです
たとえユイさんのものでも
今だけはあたしが1番近いんだって
勝手だけど思いたいんです…
「…咲姫…」
「え?」
静まった部屋に翼さんの声が響く…
「俺、今日まだ聞いてないよなぁ?」
「え…なにをですか?」
遠くでどこかの工事の音がする
「俺のことどう思ってンの?」
このタイミングで…
本当に…なんか悲しくなってくる…
だって…そんなこと…
さっきまでユイさんにも聞いてたんでしょ?
「…好きです…」
でも言うしかないから
言わないほうが不自然だと思ったから
「好き」なんて
「好き」なんて本当はいいたくない…