もう未練はねぇ。



この家に未練がある訳ねぇじゃん。



小さい頃から梢と比べられて。



いつも厄介者のように扱って。



あの家にあたしの幸せは無い。



「雫待ってっ…!」

「…………」



梢が追いかけて来る。



あたしは歩くスピードを速めた。



さすがにアジト付近になれば梢はついて来ない。



「……うるせぇんだよ。」



結局梢は自分が善人のヒロインと思ってるかもしれない。



泣けば済むって考えてるかもしれない。



そう言う人間なんだ。



だから家出したんだ。