時は少し遡る。


 ここはホムラ戦艦、艦橋。


「あ~あ、せっかく宇宙だというのに、ただ止まっているだけで、しかも無重力も味わえないとか、つまらんわぁ~」


 戦艦ホムラは、雅の作戦行動中は人工衛星軌道上に停滞の任務が与えられている。


 当然、外出の許可は出ていない。


「そもそも、重力装置の研究だからな・・・電磁波とか磁力とかを地球の観測所から測っているらしいけど、確かに俺たちからしてみたら暇だな。」


 重力装置。


 戦艦ホムラには、単体で重力を発生する装置が存在する。


 どこにあるのかも分からなければ、当然、オン、オフのやり方も分からない。


 ただ、宇宙に上がった瞬間、その装置は勝手に起動して、戦艦ホムラの中は地球と変わらない重力で活動できるのだ。


 コレにより、本来なら無重力で起るはずの急激な筋力低下が起こらず、たとえ何日と宇宙に漂おうと、彼らは平気で地球の大地に立つことができる。


 また、この重力発生装置のおかげで、地球の引力にひかれることなく、今までのスペースシャトルに比べ、優に1000分の1のエネルギーで宇宙に上がれることも分かっている。


 宇宙飛行士が宇宙に飛び出すときに味あう、20Gという圧迫も彼らにしてみたら、無縁の代物だ。


 たとえ、丸々コピーは無理だとしても、それに近いものが人類の手で発明できたら、それだけでも、人類の宇宙進出は格段に進むであろう。


 ただ、欠点を挙げるとしたら、先ほど美並楓が言ったとおり、『無重力』が味わえないというつまらなさがあるが・・・。