「じゃあ…ここで待ってろ」


先生は車を取りに駐車場へと向かう…



私は校門の前で、ふと空を見上げた…



雲ひとつなく、すっきり晴れた夜空…


4月独特のひんやりとした風…


まだ満月ではない、微妙な形の月…



「おーい!吉岡?」

近くに黒い車が止まった…

「じゃぁ、お願いします…」

「どーぞ!まあ…汚いけどな!!」

助手席のドアを開け、車に乗り込んだ…


準備室とは違い、スッキリとした男の人らしい車だった…


「ごめんなー?まあ…我慢してな?」

先生は申し訳なさそうに手を合わせてあやまった…


「大丈夫です!…あの、一応、親に電話していいですか?」

「そーだな!じゃあ、オレにも代わってな?」

「え?いいですよ!」

「いいから!オレからも言っておきたいし…」

「ん…わかりました」



校門の前で止まったままの車の中で、私は電話をした