「先生……」


今日、何度この声を聞きたいと思っただろう…


何度“会いたい”と思っただろう…


オレは後ろを振り向いた…


そこには…


オレが会いたくて仕方なかった人が…


涙を浮かべて立っていた…


「先生……」

「よ…しおか?」


今にも溢れそうなくらいに瞳が潤んでいる…


「…吉岡?」

「ごめん…ね?」

「…なんで?」


オレはそっと吉岡の手をとり、少し奥まで歩いた…


ここからなら人に見えない…


「だって…先生のこと…信じてた…のに…大丈夫だって…わかってたのに…」

「吉岡…ごめんな?…さっきの…見てた?」


オレの質問に頷き、さらに下を向く…


「先生…ごめん」

「なんで吉岡が謝んの?オレが悪いんだから…」

「違う!…私が…勝手に…」


さらに声が小さくなる吉岡…


握られたままの手が熱くなっていく…


「勝手に…?」

「や…ヤキモチ…妬いただけ…」