俺は慌てて、隣にいる尚弥を起こした。



「あの女の人、なんて名前?」


「なんだよいきなり!」


眠たそうな尚弥に俺はもう一度問う。


「なんて名前っ?」


「はっ?名前?えっと…たしか、“山下 心”だよ。」



「あっそう。…起こして悪かったな。」


「おいっ、なんなんだよー。」


「………。」


「ッチ、シカトかよっ!」


わざわざ起こしてしまって、この態度は酷いが、俺はそれどころではなかった。



尚弥の言葉も耳に入らないくらい、その女を見ていた。




自分でもわからなかった。


彼女の何かに惹かれた。


もちろん外見もすごく可愛い。


でも外見じゃないない何かに…。




この日、俺は先輩に出逢った―。