ポタ



頭上から、雫が降ってきて真上を、見上げればそこには、彼の髪があった。
彼の髪も、私程じゃないにしろ濡れているのだ。
私は、彼からタオルを取り、彼の方へ向き直った。



そして、私より高い位置にある頭にタオルを被せ、優しく拭いた。
ただの…興味本位。
それから、少しの罪悪感。
それだけのこと。





「ありがとう」



彼は、やけに嬉しそうに笑みを浮かべていた。
何故そんな笑顔が、出来るの?





「誰かのために生きてるからだよ」


心の中で呟いた疑問に、彼は応えた。
誰かのため…それは、私には出来ない。