前を走る佳奈センパイは、特に疲れた様子も見せず、先にゴールした。


私も数秒遅れて、ゴールする。



「さっすが、ゆいちゃん。期待の星だねっ」

そう言って、佳奈センパイは私の肩を叩いた。

他の部員も、少しずつ戻ってきた。


「佳奈センパイには敵いませんから」

「私は陸上バカだし、こんくらいしか出来ないのー。逆にゆいちゃんに抜かされたら、私の出来る事無くなっちゃうから困る」


そう言い、笑う佳奈センパイは、女の私から見ても綺麗で…


「それにゆいちゃんは、1年なのに、他の人達より断然早いからねー」

「いえ…そんな事ないです」


部員が全員ゴールを果たした頃、別メニューをこなしていた男子が「疲れた」「だりぃ」と口々に言いながら戻って来た。


「お疲れー」

佳奈センパイはそう言い、動きの悪いマネージャーに代わってタオルを渡していた。

案の定、マネージャーは焦ったように佳奈センパイに近寄ると、タオル配りを代わっていた。

佳奈センパイは特に怒る様子も見せず、笑顔だ。


他のセンパイなら、嫌味に「マネージャーなんだから、ちゃんと動いてよね」くらい言うハズだ。

佳奈センパイは、すごい人なのだ。