「そうか……な」 「そうです」 彼は軽く頭を下げ、優しく澪に微笑んだ。 「優しいねぇ、弥生君。稚尋とは大違いだよ、まったく……」 はぁ。 澪のため息は透明な気体となって、外の世界に解けていった。 そんな澪を見て、弥生はハハハと渇いた笑いを零した。 「そりゃ、兄さんは子供ですから」 「あ、言えてる」 こんな事、弥生君と話してるって知ったら……… おっといけない。 危ない所だった。 澪は両手でさりげに口をつぐんだ。 .