拓は元気になって、今学校に行っている。あれから直樹とも会っていない。やっぱり、会うことは出来ないんだね。もし会えたらありがとうって言いたいのに。「愛美、体調どう?」いつものように秋が声を掛けてくれた。「だいぶ、良いよ。」笑顔で言うと秋も笑顔で答えてくれた。「お昼だから行こう。」
お弁当を持ち秋は行ってしまった。愛美はまだ用意中。
「秋~。待って。」
教室を出た時には秋の姿は豆のように小さくて、ただ付いて行くのに精一杯だった。
「秋~。早いって。」でも秋は走るばかり…。顔が赤くなり、ただ走るだけで、もう駄目だった。
ドンッ!!
「痛い。す、すみません。」すぐ立とうと思ったけど尻餅付いたせいか立てない。
「大丈夫?」
優しい声。この声聞いたことある。どこかな?目の前を見ると白衣を着た男の人がいた。背は高いし、メガネを掛けている。先生なのかな?
「大丈夫です。」
叩きながら言った。「そう、もしかして迷子?」
顔を覗き込んで来た。恥ずかしくなり、目を逸らした。
「嫌、友達探しで。あの、女の子通りました?」
一歩坂って聞いた。「嫌、通ってないよ。」笑顔で言った。
「そうですか…。」