「ありがとうございます。これからも応援してくださいね。」


もう一度やんわりと微笑み、その場を立ち去る。


ふいにポケットの中で携帯が鳴る。



「はい。」


『麻里?今どこなの?』



お母さんの甲高い声が機械を通したことで尚一層高く感じる。


「もうすぐ家に着くよ。」


『今日はお父さんが珍しく早く帰ってくるんだから麻里も早く帰ってきなさいね。』


だから今帰ってきてるってば。


「わかった、じゃあね。」


携帯をポケットに戻して、足早に歩く。