男の子は自分が座っている隣のスペースをぽんぽんと叩いた。
多分、私にそこに座れって意味だと思う。
少し警戒してる私は少し躊躇してしまう。



「大丈夫だって、俺も東高の生徒だから。」



あ……





不覚にも名前すら知らない人の笑顔に。
少し涙が出そうになった。なぜだかはわからないけど。
目頭が少し熱くなった。



涙に潤んだ瞳を見られたくなくて、少し間を開けて隣に座る。




「名前は?」



「……木下ちえり。」