何もかもが終わったと思った。

「紗絵、俺たちもう終りだ。別れよう。」


私は、ただ彼を見つめることしか出来なかった。

―…終りって何が?

昨日まで一緒に笑い合って、お互いの存在を確かめ合ってたのに。


「…嘘だよね?」

どうか、嘘だと言ってほしい。
違う答えが返ってくることを望む、私。

でも…

一瞬の間を置いて、彼が口を開く。
私には、その瞬間がとてもゆっくり時間が過ぎてくように感じた。

「嘘じゃない。もう冷めちゃったんだよ。これ以上付き合っても無駄だ。」

「……やだ…、私はずっと学の側にいたい…。」

彼の胸で、必至に引き止める私。


「……俺には無理だ。」

今の自分がどれほどひどい顔で彼の胸板にしがみつきながら泣きじゃくってるか、分からない。でも、そんな私を彼は優しく抱き締めた。
そして、彼は笑顔で言った。

「お前は、強くなれる。俺がいなくてもな。だから…、さよなら。幸せになれよ。」

そう言って、彼は行ってしまった。
私は言い様のない喪失感に襲われた。


――ねぇ、どうしてこうなったんだっけ…