放課後までそれを引きずって、重い足で帰ろうとしたら、

「ねえ、唯一くん何で休んでんの?」

鈴木紗枝が話しかけてきた。

「知らない。訊いてない」

振り切って帰ろうとしたら、前に回りこんで両腕をつかまれた。

「ね、お見舞い行きたいんだけどさ、家に連れてってくれない?幼馴染なんだから知ってるよね?」

知ってるけど、連れてってなんかやるもんか。

「勝手に連れてけない。物凄く体調が悪かったらどうするの?」

鈴木は露骨に嫌な顔をした。

振り返って教室の中を見回し、他に誰もいないのを確認すると、

「また怪我させられたいの?」

スゴんで言った。