「前に、伽羅の好きなヤツが誰かって訊いただろ?そのとき、伽羅はオレにだけは言えないって。それで・・・分かった」

あ。

「っていうか、普通、分かるだろ?」

透夜だけ、特別に鈍感なんだと思ってた。

違うんだ。

「唯一も、オレが知ってることなんか薄々感づいてたと思うんだけど。だから、あんなこと言ったんだ。だから、ごめん。今いえば、熱にうなされて見た悪夢かなんかだということにしてもらえないかなって、思って」

思うか。

けど、

「・・・透夜、お願いがあるんだけど」

「え?」

「それ、気付いたときにどう思ったかとか、今どうしようと思ってるかとか、言わないで
ほしいんだけど」

あたしはおそるおそる、透夜を見た。

透夜は、いつもどおり、感情の出ない表情で。

けれど、ニッコリと微笑むと、

「わかった」

言った。

「はい。5分。続きは明日ね」

母上が、タイミングよく入ってきた。