「お疲れさま。伽羅」

後奏中に先に、ステージを下りたあたしを、透夜が待ち構えていた。

ニッコリと、皮肉を込めた微笑を浮かべている。

何か、怒られるな。

思った瞬間、

腕に引っ掛けていたパーカーを、広げた。

「伽羅に言っても無駄だから」

言いながら、それを、あたしの背中に回す。

物凄く、間近に透夜がいる。

いかん。

意識したらダメだ。

思うのに、カーッと頭に血がのぼる。