欠落している。

というよりは、博愛主義的に誰でも好きすぎて、特別感が全く分からないらしい。

だから、あたしがいちいち彼の言動限定で態度が変わってしまうのが面白いらしい。

透夜はあたしの姿を一瞥すると、

「いつもそういう格好してたらいいのに」

言った。

今は学校モード。

だから、きっちりと着た白シャツにジーパン。

ショートカットな髪は長いウィッグに隠れている。

おまけに裸眼だとちょっとモノがブレて見えるので、黒フレームのめがねをかけている。

「かつらはともかく、この格好だったら、男が寄ってこないもんな」

ニマッと唯一が笑う。