「はぁ…」

もう何回目の溜め息かな…。

今日一日でも数え切れないくらい溜め息を発してるから

あの日からなんて、もっともっと数え切れない。

「溜め息ばっかりついてると、幸せが逃げるぞ?」

…もう逃げてるよっ!!

絵里には溜め息をつく度に言われる。


……って!!!!

…アタシの大好きな人の声。

優人…だよね…?

声を聞くだけで心臓が飛び出そうになる。


必死に抑えて廊下を見ると、10メートルくらい前を優人が歩いていた。


『優人が声掛けてくれたんだ』って思ったら、顔がまた鼓動が速くなった。