「王パーツ…」

授業が終わり、生徒会室に向かっていた九鬼は、4人組のことを考えていた。

(あたしは、どうすればいい?)

単純に、オウパーツを奪えばいいのか。

それとも奪われないように、すればいいのか。

自分の在り方がわからなかった。

右足についたオウパーツから伝わる命令にも似た痛みは、九鬼に戦うことを命じていた。

(なぜ…戦う?)

単純に、月影バトルのように力を奪い合い、自分のものにするとも違った。

(すべてのオウパーツが、揃ったとしても…最後は、王に捧げられる。つまり、生け贄か)

九鬼はそう結論付けようとした時、目の前に誰かが現れた。

「よおっ」

そいつは、4人組の1人だった。髪の毛をツンツンに立て、2メートル近くある男。

もやしのように細い体であるが、力弱さは感じなかった。

九鬼は足を止めると、男との距離を計りながら、訊いた。

「何か用ですか?」

その言葉に、男はクククッと笑った。

「そうだな〜」

顎を上げ、少し考える仕草を見せた次の瞬間、男の左足が鞭のようにしなった。

「!?」

九鬼は驚きながらも、咄嗟に腕でカードをしょうと…いや、しなかった。

無意識に、右足が出ていた。

金属がぶつかるような振動音がした。

次の瞬間、2人の左右の壁にひびが走った。

「ははは!賢明だな!オウパーツで受けてなければ、お前の体は破壊されていた!」

「く!」

九鬼は顔をしかめた。

蹴りを受け止めた右足が、痙攣を起こしていたからだ。

「オウパーツの使い方も、わからないやつが!」

男は再び、左足を繰り出そうとした。

九鬼は右足を動かせない。

「終わりだ!」

男の左足が伸びきる前に、九鬼は前のめりに倒れるように飛び込んだ。

「な、何!?」

体に密着された為に、蹴りを当てることができなかった男は舌打ちすると、間合いを取る為に後ろに下がろうとした。

しかし、その動きにも九鬼は合わせてくる。