「ちょうどよかった」

そのメンバーを見て、僕はピアスの中で頷くと、アルテミアに変わることを要求した。

「モード・チェンジ」

アルテミアから、僕に変わると、屋上に姿を見せた生徒達に頭を下げてから、ゆっくりと口を開いた。

「皆さん。突然ですが、僕達はこの学園を去らなければならなくなりました。魔王の配下のもの達が、世界中の至るところで攻撃を始めています」

「な、何!?」

僕の言葉に、高坂は絶句した。

「しかし、それは!」

さやかが続けようとした言葉に、僕は頷いた。

「はい。恐らくは、オウパーツを得る為の陽動作戦でしょう。しかし、それでも人が死んでいるのも確かです」

そう話している間も、僕の胸が痛んだ。僕は胸を押さえながら、

「一刻の猶予もないのです。僕は、守る為に行きます!」

「赤星さん…」

九鬼は思わず止めようと手を伸ばしたが、途中で下げた。

なぜならば…今から人々を守る為に旅立とうする戦士を止める理由が、己の自信のなさと不甲斐なさだからだ。

「赤星…変われ」

そんな九鬼に気付き、アルテミアは僕から変わることを命じた。

「うん」

頷いた僕は、アルテミアと変わった。

「九鬼真弓」

アルテミアは、九鬼を見据えると、

「お前はまだまだ…弱い。だから再び、すべてを奪われるかもしれない」

ゆっくりと視線を右足に落とした。そして、フッと笑うと、どこからか白い乙女ケースを取り出すと、それを九鬼に投げた。

「これには、この世界の乙女ソルジャーから奪った力が入っている。」

「!?」

九鬼は乙女ケースを受け取ると、思わずまじまじと見つめてしまった。

「少しは、ましになるだろうよ」

そう言うと、アルテミアの姿が天使に変わった。白い翼を広げて空中に飛び立ったアルテミアは、一瞬で大月学園から離れた。

「いいの?」

一応訊いてみた僕の言葉に、アルテミアはああとだけ答えた。

これ以上は、僕は何も言えなくなった。