ジャスティンは、前を見た。

(先輩…。やっと…あなたの背中が見えましたよ)

遥か前方に、白い鎧を身につけたティアナの背中が見えた。

(そして…)

ジャスティンが後ろを向くと、九鬼や高坂がいた。

ジャスティンは微笑んだ。

(人間は…こうして、繋がっていく)

たった1人の力は弱いかもしれない。

だが…人間の本質は、1人では語れない。

人は、過去から未来にみんなで紡ぐ生きものなのだから。

ジャスティンは、前方を歩くティアナに頭を下げた。

(いずれ…あなたを追い越します。その時こそ…あなたのすべてを未来に紡ぎましょう)

ジャスティンは頭をあげると、ティアナに背を向け、少しだけ過去に戻った。

人類の為、1人だけ先を歩くティアナを越えることを約束しながら。

「うん?」

ジャスティンは、九鬼のそばに向かう前に、足を止めた。 そして、再び後ろを見た。

ティアナはいなくなっていた。

その代わりに…2人の戦士がいた。

「アルテミア…。赤星君…」

ジャスティンは森の向こうで始まった戦いを感じながらも、前を向くと再び足を進めた。

(しかし…心配はしない。君達なら、大丈夫だ)

力強く頷くと、九鬼のそばまで歩み寄った。

そして、九鬼の右足を見下ろしながら、口を開いた。

「こんな状態で、こんなことを言うべきではないのだが…時間がない。エル君」

ジャスティンは、エルから預けていたものを返して貰うと、 それを握り締めながら、九鬼に言った。

「君の足を取り戻す方法がある。しかし、リスクがある。それでも、君が望むならば…」

ジャスティンは、手に取ったものを包む布を外した。

すると、中から封印を施された木箱が姿を見せ…さらに木箱を開けた瞬間、九鬼は目を見開いた。

「これは!?」

箱の中には、メタリックな色をした足の形の防具が入っていたからだ。

「こ、これは!?」

驚いたのは、九鬼だけではなかった。