「高坂ダイヤモンドパンチ!」

上級魔物を蹴散らす高坂の後ろ姿を見ながら、さやかはため息をついた。

「まあ〜元々…度胸はあったからね」

「高坂ダイヤモンドチョップ」

まるで、紙切れのように魔物の体を切り裂いた。

「高坂ダイヤモンドキック!」

「でもねぇ〜」

少しさやかは、呆れていた。

「高坂ダイヤモンド目潰し!」

「いちいち自分の名字を叫ぶ必要があるのか?」

首を傾げたさやかの後ろから、魔物が襲いかかってくる。

ブラックカードによって回復したさやかは、ひらりと避けると、逆に回し蹴りを叩き込んだ。

「さやか!」

魔物を蹴散らしながら、高坂が叫んだ。

「このジャングルを越えたところに、凄まじい魔力を持った存在がいる!」

高坂の顔にかかった眼鏡のレンズが、島の状況を伝えてきた。

「それに…月の反応が2つ!恐らく、そこに生徒会長達がいる」

「わかったわ!」

さやかは魔物の攻撃を避けながら、カウンターで攻撃を放っていた。

強いと言っても女である。一撃で仕留める力はない。その為、相手の力を理由するしかなかった。

「お兄ちゃんはどうするのよ?」

先程入った休憩所は、西部の中にある。

今、高坂とさやかは西部でも、ジャングル地帯を避け、海岸線に沿いながら、南部を目指していた。

九鬼達の戦場に向かっているが、休憩所の近くを通ることになる。

「部長に仕掛けられたトラップをどうにかしないと、さっきと同じ二の舞になる!今は、生徒会長の方へ向かおう」

魔物の顔面に、正拳突きを叩き込みながら、高坂はぞろぞろとわいて出る魔物達に、顔をしかめた。

「きりがない!さやか!」

高坂は、後ろで戦うさやかの腕を掴むと引き寄せ、無理矢理オンブした。

「ち、ちょっと!何よ!」

突然の行動に狼狽え、じたばたするさやかをしっかりと押さえつけると、高坂は腰を屈め、前を睨んだ。

「ぐずぐずしている暇はない!一気に突破するぞ!」

「え?」

後ろにいるさやかの意志を確認することもなく、高坂は走り出した。