「お、おのれえ〜!」

幾多によって、頭から地面に激突した十六が立ち上がった時、その顔を見て、梨々香が顔をしかめた。

「げ!」

その反応に気付き、輝と打田も十六を見て、悲鳴に近い声を上げた。

「ひぇ〜!」

なぜならば…十六の左目がなかったからだ。




「そう言えば…さっきの地震は何だったんだ?」

首を傾げながら、走る高坂。

少し興奮気味だった為に、そのことを忘れていたのだ。

「は!」

そのことを思い出すことによって、高坂は重要な事実に気付こうとしていた。

「ま、まさか〜魔物が襲って来ないのは!」

「部長!やっと見つけましたよ」

突然、足下から声がした為、高坂は答えを導き出すのをやめて、意識を下に集中した。

「そ、その声は!舞か!」

舞の声とわかったことにより、高坂はある程度のことでは驚かなくなっていた。

例え…そこに信じられないものがいたとしても…。

高坂は腰を屈め、

「前衛的な姿だが…どこで見たことがあるな?」

落ち葉よりも小さな動くものを、まじまじと見た。

「あのからくり人形に、もしもの時があった場合を想定して、準備していたシステムですよ」

それは、目玉に手足が生えているという…小型のからくり人形であった。

あの有名な親父さんと違い…目玉から胴体が生えているのではなく、目玉から直接手足が生えているというデザインだった。

「そんなことより、部長!お探しだった幾多流が、あたし達のパーティーと接触しました。だけど、彼はすぐにパーティーから離れ…もうすぐ島を離脱するものと思われます」

「そうか…」

高坂は、呟くように言った。

「あと…この島には、人殺しがいるから逃げろと」

「そうか…」

高坂は立ち上がると、少し足を速めて歩き出した。

「部長!」

その後を、慌てて目玉が追いかけた。 そして、素早い動きで高坂の背中に張り付くと、肩まであがった。