「アハハハ!」

なぜか笑いが止まらなくなった高坂のもとに、食堂から輝がかけ寄ってきた。

「部長!」

「輝!我々も結界内に入るぞ!チーム高坂始動だ!」

なぜか上機嫌の高坂に、輝は苦笑いを浮かべた後、

「チーム高坂って…そ、そんなことより!他のパーティーはもう出ましたよ」

衝撃の事実を述べた。

「え」

高坂の笑顔が、凍り付く。

「うちとさやかのこと以外は、出発しましたよ!」

「ええ!」

三人の叫び声が通路に、こだました。

「あ、あいつら〜!勝手なことを!」

前田が怒りの顔で、食堂向けて走り出した。

「どうしますか?」

輝は、恐る恐る高坂に訊いた。

「無論…我々もでるぞ!」

今度は、顔を引き締めると、高坂は走り出した。

その横から、さやかが追い越した。

「さっきの続きは、今度きくからな」

捨て台詞を残して…。





その頃、最初に出たパーティーの五人は、早くも湖のそばまでやってきていた。

しかし…生きている者は、ほとんどいなかった。

「た、助けてくれ!」

錯乱しながら、ジャングルの草木をかき分ける柔道部部長畳次郎。

「俺は…死にたくない!」

一気にジャングルを突き抜けると、突然視界が開けた。

湖に着いたのである。

普段ならば、水を飲みに来る魔物でいっぱいのはずが、一匹も川辺にはいなかった。

空も見えない閉鎖された緑の空間から解放されたことにより、力の抜けた畳は…膝から崩れ落ちるように川辺の砂地に、前のめりに倒れた。

激しく息をしていると、砂を踏み締めながら近づいてくる足音に気付いた。

「ヒイイ」

怯えるように悲鳴を上げると、慌てて立ち上がった畳の前に、一人の学生服を着た生徒が立っていた。