「…ということで、本格的な修業は、明日から行う!今日は各自、明日使う武器の手入れや、食料を準備しておけ。地下に、携帯用の食料庫がある。一週間分の食料や、日にちに合わせて用意されてある!結界をでる前に、チェックすること!」

前田は、パーティーごとに集まっている生徒達にそう言うと、

「ここの二階が、男子のフロア。女子は二階だ!部屋の前に、名前が貼ってある!食堂は、この広間の隣だ。一時間後に、集合しろ!連絡事項は以上!解散!」

ぞろぞろと大広間から、生徒達は出て行った。


「この合宿所…学校に似てますね」

さやかのもとに走り寄った梨々香が、廊下を歩きながら感想を述べた。

「確かに…そうだな」

玄関から真っすぐ伸びる廊下の右側に並ぶ部屋。左側は窓で、埠頭に向いていた。

二階に上がる階段は奥にしかない。

その階段の横はトイレで、前には離れに繋がる渡り廊下があり、そこには風呂があった。

生徒達は、階段を上がった。

「え!?」

一番乗りで、二階に足を踏み入れた輝の顔がぱっと、明るくなる。

「も、もしかして…個室ですか!」

廊下に並ぶ部屋の多さに、輝は感嘆の声を上げた。

「フッ」

高坂は笑うと輝を追い越し、廊下を歩くと、自分の名前が貼ってある部屋のノブを掴んだ。

「喜ぶのは、中を見てからにしろ」

「わ、わかりました」

高坂の隣の部屋である輝も、ドアノブを掴んだ。

一斉に開けると、

「狭っ!」

輝は驚きの声を上げた。

余裕のない1人用のベットが、部屋の殆んどを締めており、その横を何とか通ると、奥に机を椅子があった。

ドアの横に、簡易クローゼットがあった。

「せ、狭すぎますよ!」

輝が文句を言っていると、

「そうだな…」

その隣で、高坂は口ごもっていた。

「どうしたんですか?部長」

その様子に、違和感を感じた輝が、隣の部屋を覗いた。

「え!」

思わず声が出た。

「広っ!」

何と…高坂の部屋は、輝の三倍はあり、さらに横にもう一部屋あったのだ。