一つの希望を得て、高坂の顔が明るくなった。



他の編成も決まっていた。

緑にカレン、赤星浩也に、阿藤美亜。そして、九鬼に…さやか。


「チッ!」

緑は、カレンを見て舌打ちした。

「…」

九鬼は無言で、美亜を見つめていた。

「これは…ある意味凄いメンバーね」

そんな九鬼の後ろから、腕を組んださやかがやって来た。

「如月部長」

九鬼は、さやかの方を見て静かに頷いた。

(だけど…一番の要注意人物がいない)

さやかの目は、高木真由を探していた。

空手部や柔道部の部員にまざって、真由の姿を見つけた。

(あの子も、注意しなければならないはず。もう1人は、高坂のチームに入ったけど…)

さやかは心の中で、首を捻った。

(あいつの態度が変わったのよね。どこか気を許しているような)

綾瀬理沙の秘密を聞いた高坂は、そのことを誰にも話していなかった。

しかし、明らかに接し方が変わったことを、さやかは見抜いていた。

そんな中、今回の編成を知った高坂は、悩んでいた。

(高木君に、誰かつけたい。輝が一番、いいのだが…)

前田に進言すれば、通るかもしれない。

(しかし…)

高坂は、それを言うか決めかねていた。

(あのパーティーに、生徒会長かさやかがいたら…いいが…)

輝1人の場合、なぜか嫌な予感がしていた。

それに、真由のパーティーは柔道部や剣道部の部長がいた。ヘタレの輝と変えれば、戦略ダウンとなってしまう。

(俺がいけば…)

同じく戦略ダウンになるし、今いるパーティーがガタガタになるのは、目に見えて明らかだった。仕切る人間がいないからだ。打田直美は未知数だが、このメンバーをさばくには荷が重いだろう。

(仕方がない…)

高坂はため息をつくと、現状を受け入れることにした。