「あの日、山下が涼子を呼び出し、奈津美が後ろから実花を殴って、私と2人で渡り廊下から、突き落とした」

実花は改めて、思い出させる為に二人に殺した方法を口にし、涼子を突き落とした渡り廊下を見た。

「その前から、山下と涼子が付き合っていると噂を、ばらまいた。学校の裏サイトにも、書き込んで!だから、それを迷惑に思っていた涼子は、あんたの呼び出しに応じた」

実花は、2人の責任を確認するように、奈津美と山下を交互に見た。

2人は口をつむんだ。

「上手く殺したはずなのに!」

実花は苛立ちながら、自分の携帯を開いた。

「回りくどいメールだったけど…あの文は、私たちを呼び出して、ここに来いと言ってるのよ!復讐するつもりで!」

別の指の爪を噛むと、

「私たちは三人!逆に返り討ちにしてやるわ。そして、今度こそ、殺してやる!」

実花はポケットから、果物ナイフを取り出していた。

「恐いねえ〜」

三人の後ろから、ポケットに両手を入れた幾多が現れた。

「今の中学生は、人を突き落としておいて、反省するんじゃなくて、さらに刺そうというんだから〜」

幾多は、後ろから実花のナイフを持っている腕を掴むと捻った。

「きゃあ!」

実花は思わず、ナイフを床に落とした。

さっと、幾多は腕を離すと落ちたナイフを拾い上げた。

「だけど、いいよ。それもね。人らしいよ」

幾多は笑った。

「あんた!誰よ」

腕を押さえながら、実花は幾多を睨んだ。

「話は、聞いたよ」

「え?」

三人が少し怯んだ時、幾多はノーモーションで、ナイフを突きだした。

「だけど、君は普通過ぎる」

ナイフは、実花の喉を一刺ししていた。

「単なる嫉妬。それも、直接本人と関わらず、ただ離れて見てただけの嫉妬」

幾多はすうと、ナイフを抜いた。

「下らない」

実花は血を噴き出し、倒れた。

「きゃ…」

突然の出来事に一瞬、唖然となった奈津美は、悲鳴を上げるのが、少し遅れた。

その一瞬の間に、幾多は奈津美の腹に、蹴りを入れた。