「あなたの方…月影。そして、この学園も…地上のどこよりも、ムーンエナジーが降り注ぎます。だから、校長達は、ここに本拠地を置いたのです。まあ〜あなたは、すべてご存知かもしれませんが…」

「いえ…」

九鬼は首を横に振り、

「あたしもすべては、知らないわ」

少しだけ視線を下にそらした。

「確かに…どうして、月の女神が、このように自分の力を降り注ぐようにしたのかは、理解できませんけど。神話によると、そんなことをしたから、月の女神自身の力は、弱くなったそうですね」

「…」

九鬼の脳裏に、理香子の姿がよみがえる。

「月の満ち欠けがあるのも…力を調整する為だとか…。女神の癖に、人間のように寿命があり…転生を繰り返すとも伝えられてしますけど…すべては、謎ですけど」

「そうね…」

九鬼の悲しそうな顔を見て、舞は少し首を捻った。 それから、少し湿っぽくなったのを感じ取り、笑顔をつくり、

「まあ〜という訳で、この学園に、月が出る時にいたら、治癒魔法を無償で浴びることができるんですよ!だから、あの人も大丈夫ですよ!アハハハ」

声を出し笑って見せた。

そんな舞の腕を後ろから、誰かが掴んだ。

「ヒィ!」

軽く悲鳴を上げた舞の後ろから、血だらけでボロボロになった制服を着たカレンが姿を見せた。

前にいる九鬼に気付き、

「真弓…。ここは、どこだ?」

眉を寄せながら、訊いた。

「し、信じられない!」

舞は思わず、カレンの腕を振り払うと、

「意識を取り戻しただけでなく…動けるなんて」

絶句しながら、後ろを向いた。

「ここは、情報倶楽部の部室よ。傷だらけだったあなたを治療したのよ」

九鬼はあまり、驚いていなかった。

カレンは自分の体を確認した後、驚いている舞に頭を下げた。

「そうか…。ありがとうございます」

「べ、別にいいんですよ。これが、仕事みたいなものですし!そ、それに、凄いものを見さして頂きましたし…。人間の可能性ってやつですか…アハハハ」

また何故か…舞は笑ってしまった。