「やはり…わからないか」

部室の中でパソコンの前に座り、何度もディスプレイに理沙が消える寸前を再生していた高坂は、深いため息をついた。

いつのまにか、朝を迎えていた。

「お、おはようございます」

奥にある簡易ベッドで寝ていた輝が、目を覚ました。

そのそばでは、連日の徹夜続きで疲れたのか、高いびきをかいている舞が寝ていた。

「おはよう」

高坂は、ディスプレイを見つめながら返事をした。

「ま、まさか…部長。徹夜で見ていたんですか?」

まだ眠い目を擦りながら、輝が訊いた。

「ああ…」

高坂は、理沙が消える瞬間を見つめながら、パソコンをスリープ状態にした。

「そう…簡単には、わからないな」

高坂はフッと笑い、椅子から立ち上がった。

すると突然、部室の扉が開き、緑が顔を出した。

「おはようございます。部長!やっぱり、ここだったんですね」

昨日と違い…平静を取り戻した緑は中に入ると、高坂に駆け寄った。

「前田先生からの伝言があります」

「伝言?」

高坂は、眉を寄せた。

前田絵里香は、情報倶楽部の顧問であるが…部室の場所は知らされていなかった。

哲也達のところに潜り込んだ時に、洗脳でもされた場合を考慮して、場所を知らしていなかったのだ。

その提案をしたのは、勿論…前田自身である。

「はい!」

緑は頷くと、高坂の目を見つめ、

「昨日自殺した高木麻耶には、双子の妹がいます。その妹の名は…高木真由。当学園の一年です」

「双子の妹?」

「はい。そうらしいです」
「…」

高坂は、顎に手を当てて、考え込んだ。

「あっ!それとですね。もう1つ伝言があります。5日後、合宿を行うそうです」

「合宿?」

その言葉に、輝が反応した。

「何でも、大月学園の本来の目的である勇者の育成に立ち返るとのことで…選ばれた者だけで、一週間島にこもるとのことです」

「あの島か…」

それだけの説明で、高坂はピンと来ていた。