「了解しました!」

情報倶楽部の部室内で、パソコンの前で丸くなっていた舞は、口元を緩めた。

「ついに!校長とこからくすねた追尾型の式神を使う時がき――たあ!」

ディスプレイが、グラウンドの横を通り、自殺現場に近付く輝と理沙の映像に変わった。

「もう逃がさないぜえ!」

楽しげに、マウスを操作する舞はクククと含み笑いをした。





「どういうこと?説明してよ。高坂」

さやかは、通信を切った高坂に訊いた。

「まだ…勘のレベルだから、違うかもしれない」

高坂はソファから立ち上がり、

「確信がもてないことを、新聞部には言えないな」

さやかを見下ろした。

「あら?」

高坂の言葉に、さやかも立ち上がると、目線を合わせ、

「知らなかったの?」

挑発的に口元を緩めると、

「報道の殆どが、妄想。真実は、一言ぐらいしかないわ」

じっと見つめた。

「残念ながら、その一言の確証もない…。ただ…俺の心が告げるんだ」

高坂は視線を、理沙が座っていた隣に移した。

「なるほどね」

さやかは肩をすくめ、高坂と同じ空間を見つめた。

「理解できたわ。でも…」

そして、再び高坂を見た。

「確かに…それを、口にはできないわね」

「フッ…」

高坂は笑うと、そのままドアの方に向かった。

「ねえ〜。高坂」

さやかは、高坂の背中に声をかけた。

高坂はドアノブを掴んだまま、動きを止めた。

「あたしは、新聞部部長だけど…あんたの友達なんだからね」

「わかってるよ」

高坂は、ドアを開けた。

「ありがとう」

それだけ告げると、高坂は外に出た。

「…やれやれだわ」

さやかもカードを取り出すと、

「各部員に告ぐ!厳戒体制を取れ!何が起こるかわからないぞ!」

学校内外にて、活動している新聞部部員に注意を促した。

さやかはそれだけ言うと、カードをしまい、

「まあ…この学校に通ってることで、ある程度は覚悟してるけどね」

窓の外に目をやり、歩いていく高坂の姿に目を細めた。