「エル?」

「はい」

女は頷き、

「最初…父は、ティアナとつけたかったそうですが…親友に怒られると…」

そこで言葉を切り、

「だから、エルフの誇りを持つように…エルと名付けたと」

それを聞いて、ジャスティンは大笑いをした。

「はははは!」

しばらく笑った後、ジャスティンは笑い過ぎて出た涙を拭うと、右手をエルに差し出した。

「君のお父さんの親友だ。ジャスティン・ゲイ。よろしく…エル・パーカー…でいいのかな?」

「はい!」

エルは笑顔で頷くと、クラークの手を握り締めた。

「さあ〜!行こうか!魔界を出るよ」

握手を解くと、ジャスティンは前を向いた。

その脇に、木箱を抱えて。

「どこにいくのですか?」

エルの質問に、ジャスティンはこたえた。

「日本だ」

「日本?」

エルは、眉を寄せた。

エルの姿は、人間と変わらなくなっていた。エルフの特徴が消えていた。それと同時に、魔力も感じなくなった。

どうやら…父親と同じで、変身能力があるようだ。

「日本…小さな島国だが…。今そこで…すべての運命を司るパーツが集まっている」

ジャスティンは、空を見上げた。

「私も、参加しなければならない」

そう呟くように言い、戦う決意を決めた。

「だけど…日本の殆どは比較的安全な地域だから、君をどこかで匿って貰う。心配しなくていいよ」

ジャスティンは、エルに顔を向け、

「四国辺りが一番かな…」

「はい…」

歩き出したジャスティンの背中を見つめた後、エルは後ろを振り返った。

少しだけ不安な顔を向けたが、すぐに前を向き、歩き出した。

「…」

そんなエルに、背中を向けながらも気付いたジャスティンは、しばらく話すのをやめた。

旅は長くなる。

1人ならば、すぐに日本に行けたが…。

(まあ…いい)

ジャスティンは、彼女に合わせることにした。

(これも…運命だ)