「あなたもご存知のように…エルフの女は、すべて人間により捕獲されました。残ったのは、男だけ。この村は…男だけとなったエルフが、寿命を迎えるまで住む為に作られました」

155センチくらいの男は、ジャスティンを見上げ、

「あなたのご友人…クラーク・マインド・パーカーによって」

「クラーク!?」

ジャスティンは思いもよらない名を告げられて、思わず声を荒げた。

「そうです」

男は頷き、

「彼は、年老いた我々の仲間を集め…この地に、匿ってくれました」

「そんな…話…初耳だ」

「そうでしょうな…。彼は…あなたには知られたくなかったでしょうから」

男は突然、目を伏せた。

「…どういう意味です」

ジャスティンは一度深呼吸をした後、男に向き直した。

男も息を吐くと、

「彼と私達は…ある意味同じ境遇でした。実験対象という」

「!?」

ジャスティンは、今の男の言葉である程度…理解した。

「だからこそ…彼は、私達を助けた」

「そうですか…」

ジャスティンは頷き、目を伏せた。

そんなジャスティンを見て、男は眉を寄せた。

「そうだと思いますか?」

「うん?」

意外な質問に、ジャスティンは顔を上げた。

男はじっと、ジャスティンを見つめ、

「それだけで…あの男が、我々の為に、ここを用意したと思いますか?それも…魔界の中に」

「!」

ジャスティンは息を飲んだ。

じっと自分を見つめる視線が、2人の関係とは…その程度かときいていた。

「じゃあ…何かあると?ここに、あなた達を匿ったのはついでで…真に隠すべきものがあったと仰りたいのか?」

ジャスティンは、そこまで言って、はっとした。

男の笑顔が物語っていた。

「俺にも…言えない物が、ここにあると?」

ジャスティンの言葉に、男は頷いた。

「そうです。その物こそが、あなたに託したいものなのです。我々はもう…お預かりできません」