「え」

驚くクラーク。

「早くして!」

ティアナは、クラーク達の方を見ずに、ソラを見下ろしながら叫んだ。

有無を言わせないというように、ライトニングソードが妖しく輝き出した。

「し、しかし!」

それでも近付こうとするクラークの肩を後ろから、ジャスティンが掴んだ。

「行くぞ!」

ジャスティンは、クラークの肩を握り締めると、強引に部屋から連れ出した。

「ジャスティン!」

「…」

それから、ジャスティンはカードを取り出すと、テレポートした。

「お前!何を考えている!」

2人がテレポートアウトしたのは、クラークがペシャンコにした場所だった。

「終わったんだよ…」

ジャスティンは、砦の方に顔を向けた。

蜂の巣に似た砦全体に、血管のように電流が走り…やがて、砦は爆発した。

跡形もなく、消し飛んだ砦を見つめながら、ジャスティンは瞬き一つしかなった。

爆風が、2人の間を吹き抜けた。

「…」

ジャスティンは、何もなくなった空間を見つめ…しばらくして、砦があった方に向かって、走り出した。

爆風が吹き去った後、ゆっくりと歩いてくる人影があったからだ。

勿論、ティアナである。

クラークは、ティアナの身にソラの死体がないことを確認すると、表情を殺した。

そして、ティアナとジャスティンの方に背を向けると、どこからか…さっきまで使っていたカードとは違う黒いカードを取り出した。

「任務終了しました。女神は殺害後、念のため…その地で封印した模様です」

通信機能を使い、どこかに報告した。


「先輩!」

ジャスティンにはわかっていた。

ティアナが止めをさしていないことを…。

しかし、理由があるのだろう。

ジャスティンは駆け寄りながらも、そのことについて触れることはしなかった。