「アルテミア!」

今度は、ジャスティンがアルテミアの話を遮った。

一歩前に出て、

「お前は、何を考えている!あの子は、お前と赤星君の……!?」

ジャスティンの話の途中で、アルテミアは翼を広げ、空中に浮かび上がった。

「ア、アルテミア!」

突然沸き起こった風の圧力で、ジャスティンは後ろに押し戻された。

「頼んだわよ」

アルテミアは微笑みながら、ジャスティンの前から消えた。

「アルテミア!」

風が止んだ時、アルテミアの姿は消えていた。

反応もない。

「く!」

唇を噛み締めたジャスティンは、すぐに行動を起こした。

もうアルテミアを追うことは、不可能だ。

ならば、不本意であるが、彼女の頼みをきくしかない。

それに、パニックになっている浩也が、母恋しさに暴走する可能性もある。

ジャスティンは、プロトタイプブラックカードに取り出すと、テレポートした。






「お母様!お母様!」

フレアを探しながら、森の中を走る内に、浩也の体は熱を帯びてきていた。

不安から、パニック状態になり…不安定な心が、浩也の中にある炎の魔力を抑えることができなくなっていた。

このままほっておけば、暴走して、森を焼き尽くすだろう。


「待ちたまえ」

浩也は突然、後ろから声をかけられて、足を止めた。

振り返ると、ジャスティンが立っていた。

「君のお母さんから、伝言がある」

「お母様から!」

浩也の目が輝いた。

「そうだ」

ジャスティンは頷きながら、初めて見る浩也に戦慄を覚えていた。


(この子は!?)

浩也が発する熱により、周りの空気が揺らいでいた。

「おじさんは、お母様の知り合いなの?」

(おじさん!?)

心の中で、ショックを受けながらも、ジャスティンは優しい笑顔を浮かべながら、頷いた。

「ああ」

「お、お母様はどこにいるの!」

浩也の顔にも笑顔が戻り、熱も冷めていく。