「折角、あなたを呼んだのに、ギラと戦った時は…ひやひやしましたよ。まあ〜ある意味、サラでなくてよかったのですがね。彼女は容赦ないですから」

不動の拳をライトニングソードで受け止めたが、その威力で後方に飛ばされたティアナは、その言葉に眉を寄せた。

「あたしを呼んだ?」

「そうです」

不動はにやりと笑い、

「騎士団長である私が、負けたままではいけませんからね。それに、目的の彼も、その方が…ここに来やすかったでしょうしね。理由もできて」

「クッ!」

ティアナは唇を噛み締めた。

「私はただ…この地で、誰にも邪魔されずに、あなたを殺したかっただけです」

「貴様!十字軍とつながっているのか!」

ティアナの叫びに、不動は笑い、

「我々と繋がりたいと思う人間は、多いですよ。自分だけは助かりたいという人が!」

「クッ!」

「この話からも、わかるでしょ?人間の卑しさが!」

「それは、一部の…」

「そんな人間もいずれ、殺しますよ。我々が生かすはずがない」

不動は、ティアナに襲いかかる。

全身が汗だくになるだけではなく、火傷も酷くなってきたティアナは、これ以上長引けば直接ダメージを受けなくても危ないと感じていた。

サウナのようになっていた洞窟内の温度は、さらに上がり、中に流れる川も沸騰し、水蒸気が視界を遮ってきた。

カードに残る魔力も少なくなってきた。冷却魔法を発動していたが、もう効かなくなってきた。

ティアナは、後方にジャンプすると、不動の拳を避けた。

接近戦は、もう限界だった。

(あと…一撃)

ティアナは、不動を倒せる程の斬撃を放てるのは一度だけと覚悟した。

(どこに核があるのか…)

ライトニングソードを握り直したティアナの自分を見る目の鋭きに、不動もその覚悟を感じた。

「来ますか」

不動の両手両足が、燃え上がる。そして、ティアナに両拳を向けた。

「私も飽きて来ましたよ。このやり取りにね」

さらに上がった温度と、水蒸気の中、ティアナは動いた。