「ジャ、ジャスティン!」

その行動は、後ろにいたクラークにも、無謀に見えた。

「こ、小わっぱ…」

ギラとジャスティンの体が交差した。

「き、貴様の名は?」

ギラの拳は空を切り、その拳圧で、クラークの左後ろの木々が根元からふっ飛んでいた。

クラークはそのことに冷や汗を流すよりも、興奮で体を熱くしていた。

「ジャスティン!!」

ギラと交差したジャスティンの体だが、拳だけが…ギラの脇腹に突き刺さっていた。

クロスカウンターの形になったジャスティンの拳は、ギラの力もプラスして、破壊力を増していた。

先にクラークが自分の名前を呼んだことに苦笑した後、ジャスティンは自らの名前を告げた。

「ジャスティン・ゲイ」

「そ、そうか…」

ギラは笑うと、

「ジャスティン・ゲイ…覚えておくぞ」

その場で膝を折り、前のめりに倒れた。

「ジャスティン!やっとな!」

喜びの声を上げるクラークに、ジャスティンは首を横に振った。

「いや…まだだ」

そして、振り返り…クラークの真後ろを睨んだ。

「え」

余りの興奮で、クラークは気を探るのを忘れていた。

こんなにも強大な力を持つ者が、後ろにいたのにだ。

背中に戦慄が走り、クラークは慌てて振り返った。

「!!」

そして、息が止まるほど驚いた。

そこには、騎士団長サラが立っていたのだ。

「フッ」

サラは笑うと、金縛りにあったように動けなくなったクラークの横をすり抜けた。

「無様だな」

ジャスティンのそばまで来ると、倒れているギラを見下ろした。

「サ、サラか…」

ギラは土を掴むと、立ち上がろとしたが、なかなか立ち上がれなかった。

「クッ!」

ジャスティンは慌てて、サラに向けて構えた。

そんなジャスティンの動きに、サラは目だけを向けると、

「やめておけ…。今のお前に、我と戦う術はない。それにだ」

サラの目は動き、ジャスティンの右手を映した。

「この手では、戦えまいて」