「な!」

ギラの手刀と斬り合っていたティアナの姿が、目の前から消えた。

「ど、どこに行った!?」

ギラが、ティアナの姿を探そうと、後ろを見た瞬間、頬が斬れた。

「どこに!」

ギラがティアナの姿を探そうとする度に、死角から斬られた。

やがて、ギラでもとらえられないティアナの動きが風を起こし、竜巻がギラの体に絡み付いた。

ティアナの剣による切り傷だけでなく、竜巻の回転によるかまいちが、ギラの全身を切り裂いていく。

「こ、これは!?」

風による真空波、雷鳴の攻撃…すべてが、空の騎士団長である自分が得意とする攻撃だった。

「ゆ、許さん!」

ギラは竜巻の中、全身を切り刻まれながらも、右手を突き上げた。

「雷鳴と風は!我のものだ!!」

ギラの右手が、信じられないほどに輝き、スパークした。

「ギラ!ブレイク!」

次の瞬間、ギラの雷撃が、周囲の空間をすべて消滅させようとした。

「せ、先輩!?」

今まで気を失っていたジャスティンは立ち上がると、ギラに絡み付く竜巻が、足下だけかまいちが発生していないことに気付いた。

そのことを目がとらえ、脳が状況を判断する前に、ジャスティンはスライディングするように、ギラの足下に向けて飛び込んだ。

ダメージを与えることが、目的ではなかった。

ギラのバランスを崩すことが、目的だった。