ティアナは、ギラから向けられた殺気に、眉を寄せた。咄嗟に、自分のブラックカードをクラークに投げつけ、障壁を張ったが、すべての魔力を使ってもギラの電気を防げなかった。

(強い)

改めてそう思った。

「チッ」

ティアナの隣にいたグレイは、舌打ちし、

「厄介な相手に会った。逃げるか?」

ティアナの方を見ずに、無理だとわかっていたが訊いた。

「駄目よ。あいつの目的は、あたし。どこまでも、追ってくるわ」

ティアナは、ギラの目を睨み返した。

ギラはそんなティアナに驚くと、嬉しそうに笑った。


「確かに…ご指名のようだな」

ギラを見て、頷いたグレイはため息をつき、

「最悪だな…。騎士団長を前にして、生きていた人間はいないぞ」

「心配しないで」

グレイの言葉に、ティアナは一歩前に出た。

「騎士団長の前に立ったのは、三回目だから」

「え」

グレイが驚きの声を上げた時には、ティアナは焼けた土の舞台の中に足を踏み入れていた。

「どれ程のものか…。確かめてやるわ」

ギラも前に出ると、その後ろから回転する2つの物体が通り過ぎた。

「!?」

驚きながらも、ギラは一足で、ティアナを自らの間合いの中に入れた。

先程切り裂かれてくっ付けたばかりの左腕を振り上げ、手刀をつくると、一気に振り下ろした。

「モード・チェンジ!」

ティアナの肉体が変わる。

飛んできた2つの物体をクロスさせ、剣にすると、ギラの手刀を受け止めた。

「何!?」
「え!」

2人は同時に、声を上げた。

ギラの手から放たれた雷撃と、ライトニングソードの電撃がぶつかり合い、スパークした。

ギラは、真っ二つにするつもりだった。

ティアナは受け止めた後、押し返すはずだった。

(ストロングモードが…押し負けている!?)

力を増したティアナの両足が、地面にめり込んでいた。

「チッ!」
「チッ」

互いに舌打ちすると、2人は離れようとした。