ランは鼻で笑い、

「流石は…建前の国」

肩をすくめた。

そんなランに、男は初めて殺気を向けた。

「祖国を馬鹿にしないでくれたまえ」

言葉は、丁寧だが…怒りがこもっていた。

「…」

ランは無言になると、男に冷たい視線を向けた。

「まあ〜いいでしょう」

男は仕切り直しとばかりに、愛想笑いをつくると、

「我が国は、今回の出来事を重く見ています。人類存亡の為にも、あなた方の研究は不可欠です。その為、惜しみ無く…すべての事柄に協力することを伝えに来たのです」

「…それで、どうする気です?すべてを独占するつもりですか?」

ランの言葉に、驚いたようにポカンと口を開けると、数秒…間を開け、

「そ、そんなつもりはありませんよ」

両手を振った。

「我々は、すべての人類の為に…」

「わかりました」

ランは腹をくくった。ここまで来たら、利用するか…されるかしかない。

「ティアナ・アートウッドには、私から話しましょう」

男はわざとらしく、ぱっと笑顔をつくると、

「ありがとうございます!」

深々と頭を下げた。

「仕方ない…」

呟くように言うと、頭をかき…ランは管制室の割れた窓から、格納庫にいるティアナを見た。彼女の前にも謎の集団がいた。

「あと…目の前にある核兵器ですが…彼らから要望がありまして…すべて、我々が保管することになりました」

「何!?」

クラークは驚き、男の方に顔を向けた。

「彼らとは…」

男はいやらしい笑みを浮かべ、こたえた。

「ここの新しい支配者ですよ」