「どこから!?」

頭を上げた男は、驚いたような演技をし、

「ま、まさか〜!あなた方は、秘密裏に進めていたと思っておられたのかな?」

悪戯っぽくランに目をやり、

「それは、無理でしょ」

肩をすくめて見せた。

「確かに!ティアナ・アートウッド1人の時は、知りませんでしたよ。だけど、計画が大きくなり…壮大なプロジェクトと化した時…あなた方は、ある問題にぶつかった!」

にやりと笑い、

「資金源という問題に!」

「!」

ランは目を見開いた後、舌打ちした。

その様子に、男は頷き、

「ですから〜あなた方は、資金協力を呼び掛けた。まずは、メキドの有力者であるアレキサンダー家に!そして、日本地区の時祭財団に!」

「…」

ランは、両腕を組んだ。もう睨むこともしない。時祭の名がでた瞬間、すべてばれていることがわかったからだ。

「どちらも、我々と懇意にしておりますので…」

男は、ランに微笑みかけた。

(アメリカか…)

ランは男を、ただ…見つめた。

魔界と陸続きであるユーライア大陸を捨て、新たに人類だけが支配者となることを目的とした…まだ歴史の浅い国。

ノアの国と言われる程…あらゆる人種が、移民したが…その実は、ブルーアイズのみを優れた人間ととらえ、一部の特権階級が支配する…偽りの自由の国。

十字軍とは別の、強力な軍団を有する大国である。

しかし、魔王によるマジックショックにいち早く襲われた国でもあった。

世界に誇る軍隊は、祖国では機能しなくなってしまった。

その為、何としても魔力を使えるようにするか…もしくは、魔力に変わる新たな力を得ることに躍起になっていた。

男は、ランの肩越しに核ミサイルを見つめ、

「科学の力も素晴らしい。しかし…今ある兵器を、破棄することも忍びない。そんな時に、我々は君達の研究を知った」

男は視線を、ランに向け、

「どうだろう?我が国にも、協力させてくれないだろうか?」

「目的は、何です?」

ランの質問に、

「世界平和ですよ」

男は当たり前のように、答えた。