吹っ飛びながらも、ティアナは足に力を入れて踏ん張った。止まると同時に床を蹴ると、音速を超えたティアナの体は、次々に放たれた気をライニングソードで切り裂いた。

「うわあああっ!」

絶叫したティアナの体が、再びゲイルの前に現れた。今度は、突きの体勢で突っ込んできた。

しかし、剣先を…ゲイルの喉には突き刺させない。

「やはり…人間は愚かなだ」

ゲイルは、指先をティアナの顎先に向けた。そして、指を上に向けるだけで、ティアナの顎が突き上がった。そのまま…空中でこうを描くように、ティアナは吹っ飛び、背中から床に激突した。

ゲイルはにやりと笑うと、再び気を核ミサイルに向けて放った。

「モード・チェンジ!」

ティアナは跳ね起きると、何とか…すべての気を切り裂いた。

しかし、明らかに…最初よりもスピードが落ちていた。

肩で激しく息をするティアナを見て、ゲイルは再び腕を突きだした。今度は、両手だ。

「いつまで、もつかな」

ゲイルは左右に、腕を広げた。

「先輩!」

ティアナの様子に気付き、ジャスティンが駆けよろうとしたが、二匹の魔物が遮った。

「どけ!」

ジャスティンは、飛び蹴りを喰らわしたが、マシュマロのような体をした魔物は、衝撃を吸収した。

「いくぞ」

ゲイルは遊んでいた。わざわざティアナに、放つタイミングを知らせた。

ティアナは、ライニングソードを握り締めた。


その時、突然…ゲイルの表情が歪んだ。

「馬鹿ものが!」

少し顔を動かした後、ゲイルは叫んだ。 ティアナを睨み付け、

「お前が、学校を辞め!家を出たのは、何の為だ!」

「お、お祖父様!?」

ティアナは目を見開いた。

「人間を…守る為じゃろが!」

怒りながらも、ゲイルの目から涙を流れた。

「お前の正義は、どこにあるのか!」

そう叫んだ瞬間、再びゲイルの顔が歪んだ。

「見せてみろ!私に…お、お前の…せ、せ、正義を!!ティアナ・アートウッド!わ、私の孫よ!!」

そう叫んだ瞬間、ゲイルの顔に笑みが戻った。

「いくぞ」