「チッ」

ティアナは舌打ちすると、部屋の中に飛び込んだ。

クラークは腰につけていた短剣を抜くと、爪を斬った。

ジャスティンも、ティアナの後に続く。

「ティアナ・アートウッド…」

部屋の中には、椅子に座った魔物がいた。

兵士の制服を着込み、足を組んだ魔物は、顔とほぼ同じ大きさをした一つ目を向けた。

「お前は、危険だ」

その瞳には、ティアナとジャスティンが映る。

「貴様!」

ジャスティンは飛び蹴りを叩き込もうと、ジャンプした。

「ジャスティン!」

「フフフ…」

含み笑いをした次の瞬間、魔物の股間から鋭い爪が束になって襲いかかってきた。

「ジャスティン!」

勢いが止まらないジャスティンを、ティアナは後ろから回し蹴りで無理矢理横に移動させた。

しかし、その代わり…ティアナが矢面に立つことになった。

その間、数秒。

「アートウッド!」

そこにいた誰もが、ティアナが串刺しになったと思った。

その時、魔物が座る椅子の後ろにある窓を突き破って、二つの回転する物体が飛んできて、ティアナに向かってきた爪を横から切り裂いた。

ティアナが両手を伸ばすと、装着され、トンファーになった。

「その武器…」

魔物は目を細め、

「忌々しい」

「貴様ら、一体どうしてここにいる!」

構えるティアナに、魔物は言った。

「爆弾は、撃たさなければならないのだ」

「何!?」

眉を寄せたティアナに、横の壁に激突していたジャスティンが叫んだ。

「先輩!下!」

「!?」

足下が盛り上がる違和感を感じたティアナは後ろに下がった。

床を突き破って、象に似た魔物が出現した。

鼻がドリルのように回転している象の魔物は、ティアナを見て、涎を垂らした。

「舐めるな!」

ジャスティンは立ち上がり様、滑るように象の魔物の足に、蹴りを食らわした。

しかし、固く頑丈な足はびくっともしなかった。