「このもの達が、新しい騎士団長か?」

久々に城に戻ったのは、黒よりも黒い闇でできた魔神ラル。

ライの分身であり、側近であった。

「有無。そうじゃ、こやつらが新しい騎士団長だ」

もう1人の側近であるカエル男が胸を張り、ラルに紹介していた。

「――と言っても、妹の方は、騎士団長を名乗れる程の力はないがな」

玉座の間の真下にある部屋で、ラルとカエル男…そして、不動にリンネとフレアがいた。

「フン」

冷たい石の壁にもたれていたリンネは、カエル男の言葉に鼻を鳴らすと、腕を組んで歩き出した。

もたれていた壁が、赤く燃えていた。

ゆっくりと、身長が150センチもないカエル男に近づき、リンネは頭の天辺に手を置いた。

「妹を愚弄するのは、やめて貰おうかしら?」

手を置いた部分から、煙が立ち上った。

「ア、アチ!」

慌ててリンネの腕を払い除けたカエル男の頭に、手の形をした焼き印が押されていた。

「き、貴様!?」

リンネを指差し、カエル男は文句を言おうとした。しかし、逆にリンネに睨まれて、何も言えなくなった。

「リンネか…」

ラルは、姉妹を見つめると、目を細めた。

「何か〜ご質問でも?」

リンネはラルの呟きに気付き、顔を向けた。

「フッ…」

ラルは笑い、

「ないよ」

リンネから視線を逸らし、先程からまったく話していないフレアを見た。

「お前にはな」

放心状態のフレアに気付き、ラルは眉を寄せた。

「うん?」

熱さがおさまったカエル男は、ラルの視線に気付き、

「ああ〜」

ぽんと手を叩くと、

「妹には、心がないのだよ」

ラルに説明した。

「そんなことはないわ!」

リンネは、カエル男の言葉にキレた。

「この子には、ちゃんと心がある!」

「な、何を言うか!」

カエル男はさっきの仕打ちもあり、リンネに食ってかかった。

「一度!返事したくらいではないか!」

言い争うカエル男とリンネから、ラルは視線を変えると、部屋の角で欠伸をしていた不動にきいた。

「王は?」