「御免」

カイオウは立ち上がると、マリーとネーナに頭を下げ、離れから出ていった。

「やれやれ…」

不動は、小声で呟いた。

自分も出ていきたかったが、それは無理だった。

もともとネーナに、女神のことを先に報告したのは、自らの失態を誤魔化す為だった。

たった1人の人間に、遅れを取ったことを。

(うん?)

ここで初めて、不動は気付いた。

リンネとフレアがいないことに。

(どこに行ったのだ!あいつらは!)

また面倒が起こっていけない。

不動は、心の中で舌打ちした。

(仕方ない)

意を決して、不動は立ち上がると、

「失礼します」

頭を下げ、早足で離れから脱出した。

マリーとネーナは、上機嫌で笑い合っている為、不動のことを気にはしていなかった。

離れから離れると、不動は安堵のため息をついた。

「2人の女神のそばになど、いれるか」

炎の魔神である不動は、特にマリーが苦手だった。

マリーの一番近くにいた為に、不動の腕が凍っていた。

炎でできている腕がだ。

「凍傷になるわ」

不動が魔力を込めると、数秒後…やっと元に戻った。

「ふぅ〜」

もう一度、息を吐いた後、不動はリンネとフレアを探す為に、城内を歩き回ることにした。