「一つだけ…教えてあげるわ」

マリーが、ネーナに目を向けると、再び温度は正常に戻った。いや、逆に…寒いくらいだ。

「新しい女神が、生まれてほしくないと思っているのは…あたし達だけではないということよ」

「?」

ネーナには、意味がわからなかった。

「それに…人間自体が向かうとは限らないわ」

「核爆弾ですかな?」

離れに、また新たな人物が姿を見せた。

「カイオウ!」

マリーは振り向くと、正解を口にしたカイオウを血走った目で睨んだ。

「こ、これは…失礼致しました」

マリーの楽しみを奪ってしまったことに気付き、片膝を床につけると、頭を下げた。

「チッ!」

舌打ちすると、マリーはネーナに視線を戻した。

「核爆弾!?」

ネーナははっとした。

「そうか!あやつも、納得していないのか!」

「そうよ」

マリーは、勿体ぶるのを止めた。

「いずれ…お父様の跡を継いで、王となることができるものは、これ以上いらない!」

「なるほどな」

ネーナはにやりと笑い、頷いた。

「間もなく発射される…数百発のミサイル!その一つが、落ちても…仕方ないわ。事故なんだから」

「そうよね」

マリーとネーナは頷き合い、笑い合った。


(なるほどな…)

カイオウは、心の中で持っていた疑問に合点がいった。

(なぜ…人間が核を撃てたのか?)

発射ボタンを押した時、あいつがそばにいた。それなのに、なぜ…止めなかったのか。

その疑問を、カイオウは抱いていた。

(つまり…最初から、人間を破滅させるだけではなく…)

カイオウは少しだけ、顔を上げた。

(新たな女神を、抹殺するつもりなのだな)

本命だった女神は、ライの手で2つにわけられた。

彼女達には、問題はない。

残るは、この城の外にいる…まだ目覚めていない女神のみ。

(醜い…権利争いか)

まるで、人間のようだ。

そう思ったが、カイオウは否定した。

(違う!人間が、我らに似ているのだ)