「お前が知る必要はない」

ライはアスカを見ることなく一喝すると、カイオウに言った。

「了解した。お前の頼み…きいてやろう」

「は!有り難き幸せでございます」

カイオウは額を床につけ、礼を口にした。

「但し!」

ライは、条件を口にした。

「確実に、人間の都市を破壊しろ!」

「は!」

カイオウは立ち上がり、頭を下げた後、玉座の間を後にした。

「失礼します」

サラも突然立ち上がると、出て行こうとした。

「え」

跪きながら、ギラはサラの動きに戸惑ってしまった。

立つタイミングを失った。


「待て」

そんな2人に、ライが声をかけた。

「お前達に、告げなければならないことがある」

ライの言葉に、サラは再び跪いた。

その様子を見つめた後、ライは言葉を続けた。

「先日、失敗に終わった女神の誕生だが…実はもう一体、培養していた者がいる。管理を任していた魔神から、連絡が入った。調整は、最終段階に入ったとな」

「培養?」

ライの言葉に、サラは眉を潜めた。

「どうした?サラ。何か問題でもあるのか?」

ライは、頭を下げているサラの微妙な変化に気付いた。

「は!」

サラは顔を上げると、

「その女神は…ライ様がお造りになったのではないのですか?」

疑問を口にした。

「フッ。何を言うかと思えば…」

ライは笑い、

「俺が創ったに決まっている。だが…少し趣向を凝らしただけだ」

「趣向でありますか?」

サラは、恐る恐るライの顔を見た。

少し悪戯ぽい表情を浮かべるライの顔に、サラは空牙であった頃の面影を見た。

「まあ〜大したことじゃない。目覚めれば、そいつは…女神を名乗ることになる」

「女神…」

「そうだ」

ライは、サラとギラを見下ろしながら、女神の名を告げた。

「風の女神…ソラ。翼ある魔物達を率いる存在になる。お前達2人は、風の女神のサポートに回って貰う」

「は!」

ライの言葉に、サラとギラはもう一度頭を下げた。