「核か…」

玉座に腰掛けたライの前に、跪くサラとギラ。

「は!」

「何とか除去作業は、終了しましたが…まだ人間は、核を保有しております」

サラは顔を上げ、

「再び撃たれるのは、時間の問題かと」

ライを見た。

「フン」

ライは鼻を鳴らすと、

「もし…次を撃つようであれば、この世界の人間は、生きることに値しない愚かな存在として、露呈することになる」

「…」

ギラは黙って、話を訊いていた。

「今回の爆発で、死んだものの中に、我々の同胞はおりません」

サラは再び頭を下げ、

「人間は、人間を殺しただけです」

「それこそが…人間らしい」

サラの言葉に、ライは呟くように言った。

「しかし、自然が破壊されました」

ギラが初めて、口を開いた。ライを見上げ、進言した。

「王よ。我々に、核爆弾破壊の命をお与え下さい」

「その必要はない」

ギラとサラの後ろに、カイオウが現れた。そのまま、ギラの横で跪くと、カイオウは頭を下げたまま、ライに向かって報告した。

「現在、人の手にある残りの核爆弾はすべて…人間の主要都市に向けてプログラムされております。もし、次に発射した場合…人間の3分の2は、死滅します」

「馬鹿な!そんなことをすれば、また自然が破壊される!大気が汚れる」

ギラは、カイオウを睨んだ。

「わかっておる。だからこそ…王に申しておるのだ」

カイオウはギラを見ずに、ライだけを見つめていた。

「なるほど…」

ライは玉座の肘置きの上で、頬杖をつくと、

「爆破直後の放射能を何とかしろと、言いたいのか?」

カイオウを見下ろした。

「こ、これは…お願いでございます」

カイオウはライの視線から逃れる為に、深々と頭を下げた。

「放射能って何ですか?」

怯えるカイオウの耳に、場違いな声が飛び込んできた。

「フッ」

その声に、ライは口許を歪めた。

玉座の間の空気が、変わった。

声の主は、アスカだった。

玉座の間で、半分幽閉されているアスカは、ライの隣で大理石の床に正座していた。