「く!」

信じられないプレッシャーを受けながらも、カレンは再びピュアハートを召喚させた。

遥か上空にいるドラゴンの気を感じて、ピュアハートが脈打っているのがわかった。

カレンはピュアハートを握り締めると、何とか真っ直ぐ立ち上がった。

心を落ち着けると、呼吸を調え、プレッシャーを受けるのではなく、受け流す。

カレンは顔を上げ、キッとドラゴンを睨んだ。

「この大きさは…普通のドラゴンじゃない!まさか…七匹の竜王のどれかか!?」

カレンはプロトタイプブラックカードを取りだし、ポイントを確認した。

「先程の…炎で結構使ったか」

大木の魔物から奪った魔力は、消費した魔力の三分の一にも満たなかった。

「調子に乗りすぎた…」


今、カレンにあるものは…ピュアハートだけである。

「あの巨体を斬れるか?」

小さな町くらいの大きさがあるドラゴンを、ピュアハートでぶった斬るのは至難の技であった。

「しかし…チッ!」

カレンはドラゴンを見上げながら、舌打ちした。

明らかに、ドラゴンはカレンよりも他の何かに意識を向けていた。

焼け野原になった村に立つカレンのことを、気にかけてもいない。

「そういえば!」

カレンははっとした。

プレッシャーに押し潰されている時…ドラゴンは、口から何を放っていた。

慌てて、周りの状況判断に意識を向けると、カレンは絶句した。

「な…」

ドラゴンが攻撃した方角に、おびただしい程の魔物達が飛び回っていたからだ。

「なんだ…あの数は!?」

今まで見たことのない程の大群である。

その中でも、ドラゴン以上の気を2つ感じた。

「何がどうなっているんだ!」

カレンがいる場所から、数十キロは離れている為、詳しいことはわからないが…この前代未聞の大群は、あることを意味していた。

「こ、これ程の…大群を投入しないといけない相手がいるのか…それとも」

カレンはピュアハートを握り直した。

「大事な…何かを探しているか」

カレンは、一歩前に出た。

「どちらにしても…確かめないといけないな」