「心?」

ギラは振り返り、サラの顔を見た。

「そうだ。だから、妹の方には期待するな」

サラはギラと目を合わせずに、再び歩く速度を上げると追い越した。

「サラ…」

ギラは仕方なく…距離を開けて後ろを歩くことにした。



「新しい魔神か…」

階段を上がりきったカイオウは、離れて行く2人の背中を見送っていた。

結果…新しい女神は生まれなかった。

「仕方あるまい」

そう呟いた時、真横から凄まじい魔力を感じ、カイオウは反射的に跪いた。

「あたしの新しい家来は、この下か?」

唐突に廊下に現れたのは、炎の女神ネーナだった。

「は!」

カイオウが頭を下げると、ネーナは階段を飛び降りた。

と同時に、地下室の扉がふっ飛ぶと、ネーナは中に入っていった。

「無粋な子」

「!?」

今度はまったく気配を感じさせずに、水の女神マリーが目の前に現れた。

驚くカイオウに微笑むと、ゆっくり階段を下りて行った。

その様子を見つめながら、カイオウは全身に冷や汗が流れるのを感じていた。

2人の女神…。

彼女達がいれば、もう何もいらないのではないのか。

カイオウは、感じた戦慄を…唾とともに飲み込んだ。